一般に金融モデルは時間依存性を持っている。金利の要素がそのモデルに含まれて入れば、その価値はまず時間変化とともに変化してしまう。それはとりもなおさず、モデルの時間依存性である。オプションのモデルでも、同様である。有名なブラック−ショールズのモデルには満期として時間の要素が含まれている。この時間依存性は利用者サイドからみて必要なもので、金融資産の値動きから必然的に出てきたものではない。そのため、時間依存性をまったく持たない金融モデルのほうが、実は高い実用性を備えていることが多々あるのである。特に将来の価格の値動きに対するモデルが想定しずらい状況ではこのようなモデルは特に威力を発揮する。
時間依存性のないオプションモデル
オプション複製の基礎
BrennannとSchwartzのTime Invariant Model
CPPI(Constant Proportion Portfolio Insurance)
CHPI(Constant Horizon Portfolio Insurance)
PPP(Perpetual Protection Policy)
CSO(Continuous Strike Option)
時間依存性のないオプションのモデルは、通常のオプションモデルと違い、時間の概念を含んでいないモデルである。このようなモデルは1980年代に盛んに研究が行われた。資産運用の現場では政策が長期にわたり一貫しているような例はむしろ少なく、計画された期間の途中で運用政策が変更されることがしばしばである。このような状況で時間の概念を持つリスク管理モデルでは不都合が生じる場合がある。このような状況を克服するために時間依存性のないオプションモデルは開発された。

このようなオプションはブラックーショールズのオプションモデルとは異なり、経路依存型のオプションである。理論上、ブラックーショールズのオプションモデルでは満期までの資産価値がどのような経路を通過しようとも見積もられた価格変動性どうりの挙動を示せば、オプションの費用を正確に見積もることができる。ところが、時間依存性のないオプションではオプション複製の費用は資産が通過する経路に影響を受ける。

ただし、実際にブラックーショールズのモデルを用いてオプションの複製を行ってみると、理論どおりの費用とならない。ブラックーショールズのモデルも結局のところは経路依存型のオプションモデルなのである。そのために時間依存性のないオプションモデルの魅力が見直されつつある。とくに、最近のコンピューターの発展により、モンテカルロシミュレーションなのが簡単に行えるようになっていることが主な原因である。