1976年9月、ポートフォリオインシューランスはカリフォルニア大学バークレイ校のへイン・リーランド教授によって考え出された。

1976年当時、カリフォルニア州知事は大学の大幅な研究費の削減を決め、リーランド教授はその解決策を探していたのである。多くの資金を株式に投資していた年金基金は1973‐1974年の株価下落の後に、損失を嫌い株式の組み入れ比率を大きく下げていた。その結果1975年の急騰を逃し多大な利益を手にできないでいたのである。そのことを知ったリーランド教授は年金基金に彼らのポートフォリオを株式下落から守ることができる保険を提供できればビジネスになると考えたのである。同時にマイケル・ブレナンとエドアード・シュワルツは株式にリンクしたライフインシューランスポリシーの価格に関する論文を発表した。そしてその3年前にフィシャー・ブラックとマイロン・ショールズはオプションの価格に関する重要な理論を発表していたのである。

リーランド教授はブラック−ショールズのモデルを徹底的に調べ上げ、ブラック−ショールズが用いた無裁定の理論をそのままオプションの複製にも使えることを思いついたのである。ブラックとショールズは動的にオプションの原資産と無リスク資産を動かし、オプションの建玉をポートフォリオ全体としてリスクが無いものにできることを展開したが、それを逆に実行すればオプションを作ることができるのである。ヘッジ対象資産と無リスク資産を動的に動かすことでオプションを作ることができるのである。このようにしてポートフォリオインシューランスの最も基礎的な部分が完成されたのである。