デマークのチャート分析テクニック

第13章 マネーマネジメント より

トレードで成功する必須な要素はすべてのトレード、またはマーケットタイミングの本や記事で無視されている。マネーマネジメントの慣行および原理は重要であるがほとんどの著者が常に焦点を当てないことに驚かされる。本章は、一般的なマネーマネジメントの1つのアプローチを提示する。もちろん必要があれば容易に他の手法で強化することができる。ここでの目標は、資金を配分しポートフォリオを管理する単純で実行可能なアプローチを記述することである。

本書は、マネーマネジメントのコースを含むようには意図されていない。しかしながら、トレーダーが破産せずに生き残るためには不可欠である1つの主題がまさしく全く無視されているマネーマネジメントの訓練である。相場の指標およびシステムが天井と底を常に正確に識別できれば、慎重で思慮深いマネーマネジメントの技術は必要ない。残念ながら、現実はそのような状況に無い。システムが99パーセント正確だったとしても、1パーセントの失敗でマネーマネジメントの考え方を適用しなかったトレーダーを一掃することができるのである。思慮深く実行可能なマネーマネジメント・プログラムの設計をしている者にとってこれから示す技術は、最初に見た限りでは極端に単純であるように見えるかもしれない。しかし、手続きを複雑にすることは、合理的なマネーマネジメントを可能にする明確で容易で実直なアプローチを単に不明瞭にするだけである。マネーマネジメントの考え方の構築に関してここで薦めているものは私が開発し、また数年間使用して役に立った様々な技術の集大成である。

どのような売買でも仕掛ける前に利益を出すことに確信がなければならない。そうでなければ、トレードをする理由がなくなってしまう。人生においてすべての決断が必ずしも正確だとは限らないし、それはまたそのまま相場にも当てはまる。市場では悪い決定を取消すことができず、売買による損失を取り戻すことはできない。この教訓を私は早く経験した。自由裁量による決定あるいは直感、憶測に頼るトレードが、有益であると思うときもあるかもしれないが、しかしどのように今後この意志決定過程を数量化し繰り返すのだろう。従って、次の提案は取引の決定およびマネーマネジメントの1連の機械的で計画的な手法を深めることだけでなく、期間および扱う市場の数にかかわらず意志決定過程を複製することを可能にすることで注目に値する。まず重要なことは一貫性、客観性および軽便性である。さらに、市場をよく観察することと同様にマーケットタイミング技術の分散に敏感である必要がある。それぞれが影響を及ぼさない多くの手法の採用により、ポートフォリオを十分に分散すればリスクの水準を縮小することができるだろう。つまり、各々が異なる投資哲学を持つ市場タイミング手法の組み合わせを適用することで、あたかも資金を管理する多くの取引アドバイザーがいるかのように行動することができるだろう。これらの技術は実際の取引システムに導入する前につもり売買でためすべきである。この技術を実行結果および細かな部分を保証するために十分にテストしそしてはじめて、このマネーマネジメントの規律は導入されるべきである。本書の他の章は方法論に関するものである。したがって、ここでの議論は投資を管理する基礎的なアプローチに専念する。