デマークのチャート分析テクニック

第12章 市場での神話と誤解 より

TDワンティックワンタイムルールTM

多くのトレーダーは過去に支持線となった価格水準、またはその前の水準が買いの好機だとして、あるいは過去に抵抗線となった水準、またはその前の水準が売りの好機として1回以上取引されると考えている。これは値動きの明白な誤解であり、TD One Tick One Time Rule の使用により無くすことができる。

タイムアンドセールを使って取引所から得られる出来高のデータを使用して、短期的な天井および底を確認する役目をする現象を識別した。重要な価格の転換点で同じ安値あるいは高値が取引された記録をすべて調査することにより優れた価格パターンを明白にすることができた。繰り返し値がつく価格を調査することで、このパターンが重要な相場の値動きの始まりと同時に起こる可能性は稀であることが判った。めったに起こらないのであれば不用となるが、それが起こるときは機敏なトレーダーにのみ利用可能で、他のトレーダーには利用できないという結論になる。特に、最安値の水準で呼値が繰り返されていてその価格が一回だけ取引されたとき、ほとんどの場合その水準は高値および安値となる。無限の時間を費やし取引高を調査することにより、価格が1方角へ動いた時に重要な安値、高値が記録されることが明らかになり、極端な値刻みが作られ、価格が速やかに反転する。この見方は米国財務省証券のピットで働く2人の偉大なフロアトレーダーに共有された。彼らはそれが価値のある情報であると考えたが、取引所のフロアで取引していて何時それが生じるかが判断できないため、フロア・トレードに用いることは非実用的であると提案した。実際、すべての売値と買値は不鮮明な価格であると彼らは考えている。確かに、それらを取引所の壁ボードで見ることができるが、しかし、それは彼らのトレードを邪魔することになる。しかし、フロアから離れ、トレードの焦点がこの現象に向かった場合はいつでもこのトレード・パターンに気づくことは確かである。フロアトレーダーがこの技法を使用できずに川上のトレーダーがこの技法を用いることができるのであれば、フロアトレーダーに対して明らかな優位に立つ大きなチャンスがあると思った。更なる調査は特定の価格水準が1回だけ取引されると、続いてその水準が再び取り引きされることなくその水準から価格が上昇(下落)すれば、潜在的な安値(高値)が作られることを示した。反対に、価格が取引されその水準から相場が上昇(下落)し再びその水準に下落(上昇)してくれば、価格が下落(上昇)しすぎた可能性が高い。あなたがフロアトレーダーであればTD One Tick One Time Ruleを適用することは困難であるが、しかし自由に使える価格チャート(あるいは少なくとも時間および売上高データ)を持っていれば、それは比較的単純である。特に価格水準が1回取り引きされることは、相場の下落か上昇の頂点で生じる。1分チャートのような短期チャートはこの出来事をしばしば実証するが、日足チャートでさえ極端な同じ価格の安値あるいは高値を目撃することはありそうもないことを示している。この事実は、結局価格が同じ水準を1回取引されればその水準を超えてしまうからである。つまり価格の転換は価格が消耗した時点で生じるので、相場の転換点は1度だけその1水準で取引される価格となる。従って、仕掛ける前か、仕掛けるときは、TD One Tick One Time Ruleが作用していることを確かめるべきであり、その価格水準を再び取引しようとして失敗すれば、重要な価格消耗点が取引された可能性が高い。この同じアプローチは、日足のチャートでも高値または安値を確認するのに同じように使える。

価格パターンは繰り返さない。

これが現実であれば、私の研究は無駄だっただろう。10年の猶予の後に、TD Analog TMは研究の目的として生き返った。TD Analogの説明に長い時間を費やすのではなく、その構造と目的について一般的な用語を用いて記述しよう。歴史は繰り返すと言われている。特徴と背景は同じではないかもしれないが出来事と結果は歴史を通じて繰り返すように見える。同様に、市場では様々な価格パターンが繰り返すように見える。また、多くの場合それらの関係は同様に類似している。これらの観察が20年前に作り直された時に、技術はこれらの繰り返される価格パターンのカタログを作るためには十分ではなかった。価格の振る舞いを推定するために、様々な市場と価格パターンの比較を研究し発展させることが新しい技術を用いて容易に行えるようになり、一連の関係を深めることができた。この努力の製品はTD Analogである。

TD Analogは時価の動きをスナップ写真に取り、その値動きを前にあった同様の値動きのパターンと重ね合わせる。例えば、その日の寄り付き、高値安値と終値をその前日のそれに相当する価格と比べ、同様に2、3、5、8、13、21、34および55取引日前のそれに相当する価格と比較することができる。さらに、終値とそれぞれの日の寄り付きと関連づけ、これらの取引日1つ1つの関連する価格とそれぞれを比べることもできるし、違う日と比べることもできる。次に、トレンドが上昇であるのか、下落であるのかを決めるために最も直近に起きたものが買いのセットアップ(la TD SequentialかTD Combo)か、あるいは売りかを決める。その後、相場が短期の上昇または下落のトレンドにあるかどうかを評価し確認するためにTD Moving Average Iを用いる。最後に、仕切るための様々な価格関係の比率を幾つにするかを決定し、その後、将来の値動きに関する結論を引き出すために価格活動を比較する。