第17章 82のトレーディング規則と教訓

長く生き過ぎると全てが上手くいかなくなる。 ラッセル・ベイカー

トレーディングの忠告は見逃せないものが多い。重要なトレーディングの規則の多くは知れ渡っているので新しいトレーダーに忠告する能力を失ってしまっている。そのため、相場に関する有効な洞察力も陳腐な決まり文句として扱われてしまっている。

「損は即刻切れ」という規則を考えてみよう。これは最も重要な相場の格言の一つである。この忠告に耳を貸さない投機家はやって行けるのか?この規則を無視している投機家はたくさんいる。当たり前であるが!投機家の口座が一度や二度の損失で消し飛んでしまうことも少なくないのである。

多くの投機家が己の経験から「車輪の再発見」をするまでこの忠告を無視することは事実である。かつ、この教訓が本当に染み込む前は同じ過ちを何度も繰り返してしまう。しかし、これら(17,18)の章で、特にトレーダーが純損失を経験した後どうなったかに付いて読むことによって、少なくとも初心者はこのような過ちを繰り返さなくなるであろう。もちろん難しいことであるが。

この章で掲げた教訓は私の経験から来るものである。そのため、82の規則は適切な形で取り扱われるべきである。経験から来る意見は知られた現実とは反していることもある。結局、一般のトレーディング・ガイドラインとかなり重複してしまうことに成ろう。これは本当に驚くべきことであり、多くの規則はトレーディングの真理として認められた合理的な原理に基づいているのである。たとえば、私はリスク管理をないがしろにする投機家が成功しているのを見たことが無い。その一方で、これから説明する規則の一部には他の人たちとは対立するような主観的なものもある。たとえば、指し値よりも成り行きの注文を使えなど。最終的に、それぞれの投機家は己のトレーディング真理を掴まなくてはならない。これから紹介するものがその過程を早めてくれることを願って止まない。

トレードを起こす

1. 主要なポジション・トレードと短期売買は分離する。短期売買に割り当てられたリスクはかなり少な目であるべきである。このポジションとストップ・ポイントは株式数、先物枚数で示されるべきである。また、投機家は主要なポジション・トレードに集中すべきである。これらはトレーディングの成功に重要であるからである。多くのトレーダーによって犯される間違いは小さな市場のぶれを捉えようと必死になって大きなトレンドを逃してまうのである。多くの手数料とスリッページがこの過程で発生する。

2. 大きな収益が見込めるのであれば、始め値の小さな違いに拘るな。小さな価格の動きに拘って逃した収益機会は50回の細かいトレードの実行から来る利益を相殺してしまう。